子どもにお金のこと、ちゃんと説明できていない気がするあなたへ
「なんでこれ買えないの?」
「どうしてお金払うの?」
子どもからの素朴な質問に、うまく答えられなかったことはありませんか。
「お金は大切なものだよ」とは言えても、「なぜ大切なのか」を説明しようとすると、言葉に詰まってしまう。
私自身、子どものころに「お金って何?」を、ちゃんと教わった記憶がありません。
だから親になった今も、なんとなく使って、なんとなく説明してる。
このままでいいのかな。そんなモヤモヤを、ずっと抱えていました。
でも、完璧に教えられなくても大丈夫です。
親も一緒に学びながら、子どもと対話していく。それだけで、お金は「よくわからないもの」でも「怖いもの」でもなくなっていきます。
この記事では、元銀行員としてお金に向き合ってきた経験と、親として子どもと日々向き合う中で、私が子どもと話すときに軸にしている考え方をご紹介します。
子どもに「お金ってなに?」と聞かれたときのモヤモヤ
スーパーでお菓子をねだられたとき。
レジでお金を払う、その一瞬に、子どもからふと投げかけられる質問。
「これ、どうしてお金がいるの?」
「タダじゃだめなの?」
大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては、わからないことだらけです。
「お金は大事だよ」
「ムダ遣いしないでね」
とは言えるんだけど、お金の意味そのものを、自分の言葉で説明できる人って、実は多くないんですよね。
それは、私たち自身が「考え方としてのお金」を教わる機会が、ほとんどなかったから。
貯金しなさい。
無駄遣いはダメ。
そんなルールはあっても、「お金ってそもそも何?」という部分は、あいまいなまま。
だから、子どもに聞かれて迷うのは、とても自然なことだと思います。
一般的に言われている「お金の役割」
お金について調べると、一般的にはこんなふうに説明されています。
・価値の尺度:モノやサービスの価値を測る物差し
・価値の保存:今持っている価値を、あとで使える形にする
・交換の手段:遠くの人とも取引できる仕組み
どれも正しい。
でも、小さな子どもに伝えるには、ちょっと難しく感じませんか。
お金は「ありがとう」と交換するもの、という考え方
そんな中で、「これなら子どもにも伝えやすいかも」と思えたのが、
お金は「ありがとう」と交換するもの
そして
人と人をつなぐもの
という2つの視点でした。
誰かの時間や手間に、感謝を形にしたもの
たとえば、パン屋さんのパン。
そのパンには、材料を選んで、こねて、焼いて、並べて、売ってくれるまでの、たくさんの時間と手間があります。
私たちは、そのすべてを見ることはできません。
でも、パンを受け取るときに、
「作ってくれてありがとう」
「用意してくれてありがとう」
という気持ちを、お金という形にして渡している。
そう考えると、お金はただの紙や数字じゃなくて、見えない感謝を、相手に届けるための道具のように感じられます。
お金の先には、いつも人がいる
レジでお金を払うとき、私たちはつい「モノ」にお金を払ってる気がします。
でも本当は、その向こう側には、必ず人がいるんですよね。
作った人、運んだ人、売ってくれた人…
お金は、その人たちと直接会えなくても、「あなたのおかげです」という気持ちを届けてくれる。
お金は、人と人をつなぐ、間に立つ存在なんです。
子どもへのお金教育|日常の中でできる伝え方
この考え方を、実際にどう子どもに伝えるか。
特別なことはしなくても、日常の中で繰り返し伝えることができます。
「ありがとうを伝えるためだよ」
一番シンプルな伝え方は、これです。
パン屋さんで
「パンを作ってくれたから、ありがとうってお金を渡すんだよ」
レジで
「お会計してくれてありがとう、って渡してるの」
小さな子どもには、目の前で起きていることを、そのまま言葉にする。
それだけで十分です。
「このお金は、誰に届くと思う?」
少し考える力がついてきたら、モノの向こうにいる人を想像させる質問をしてみます。
「このリンゴ、誰が作ったと思う?」
「お店まで運んでくれた人もいるよね」
「並べてくれた人もいるんだよ」
お金を払うことは、その全員への「ありがとう」。
そう伝えると、子どもの中で、お金の意味が少しずつ変わっていきます。
成長に応じて、少しずつ広げていく
こうしてお金の先に人がいることが少しずつわかってきたら、年齢が上がるにつれて、
子どもはもう一歩先のことも考えられるようになります。
それは、「ありがとうを受け取る側」だけでなく、「ありがとうを生み出す側」にもなれるという視点です。
・自分は、どんなことで人の役に立てるかな
・どんなことをしたら、「ありがとう」と言ってもらえるかな
お金は、誰かに何かをしてもらうときだけでなく、自分が誰かとつながるためにも使われるもの。
そんなふうに、お金を通して「社会の中の自分」を考えられるようになっていきます。
もちろん、これも一気に教える必要はありません。
日常の会話の中で、ふと立ち止まって考える時間があれば、それで十分です。
買い物で感じる「お金」と「感謝」のつながり
この考え方は、特別なことをしなくても、日常の中で実践できます。
お店での買い物:一緒に声に出してみる
レジでお金を払うとき、私は時々こんなふうに子どもに話しかけます。
「ありがとう、って渡してるんだよ」
「このお金、お店の人にも、作った人にも届くんだよ」
最初はポカンとしていても、繰り返し聞くうちに、お金の意味が少しずつ変わっていきます。
習いごとやサービス:「教えてくれてありがとう」を形にする
習いごとの月謝を払うときも、同じです。
「先生が時間をつくって、教えてくれるから、そのありがとうを渡してるんだよ」
この一言があるだけで、習いごとへの向き合い方も変わってきます。
家庭の中にもある、小さな感謝の交換
お金は動かなくても、家庭の中には「ありがとう」の交換がたくさんあります。
ごはんを作ってもらう、洗濯をしてもらう、送り迎えをしてもらう。
「してもらった」「助けてもらった」これも、お金と同じ「ありがとうの交換」の一つなんだよ、って私は子どもに伝えています。
勉強やお手伝いのご褒美をどう考えるか
「勉強したらお金をあげていいの?」
「お手伝いでおこづかいってどうなの?」
こうした悩みが尽きないのは、ルールを知らないからじゃなくて、考え方の土台が定まっていないからかもしれません。
土台があると、判断がしやすくなる
「お金はありがとうの交換」
「お金は人と人をつなぐもの」
この土台があると、同じ行動でも意味が変わってきます。
・お手伝いへの報酬:家族間の「ありがとう」を、あえてお金にする必要があるかな?
・勉強のご褒美:勉強は、誰への「ありがとう」なんだろう?
一律の正解はありません。
でも、この土台に戻って考えることで、家庭ごとの判断がしやすくなります。
我が家の場合|おこづかいは「練習の場」
我が家では、おこづかいを「お金の意味を考える練習」として位置づけています。
毎月一定額を渡して、使い方は子ども自身が考える。
お手伝いや勉強への報酬とは切り離す。
お金をもらう練習じゃなくて、お金の意味を考える練習。
そう考えると、「ご褒美はお金」とは違う形が見えてきました。
この考え方が、これからのお金教育の軸になる
「お金はありがとうと交換するもの」
「お金は人と人をつなぐもの」
この2つの視点は、これから出てくる、いろいろな場面につながっていきます。
・おこづかいをどう渡すか
・勉強のご褒美をどう考えるか
・「買って」と言われたときにどう応えるか
・「お金がない」とどう伝えるか
すべての場面で、この土台に戻ることができます。
完璧じゃなくていい。少しずつ伝えていけば大丈夫
お金は「ありがとう」と交換するもの。
そして、お金の先には、いつも「人」がいる。
この2つの視点があるだけで、お金の話は少しあたたかくなります。
お金の話は、一度で全部伝えなくていいし、正解を用意しなくても大丈夫です。
わからなくても、迷いながらでも、「一緒に考えてみよう」と言えること。
それだけで、子どもにとってのお金は、よくわからないものでも、怖いものでもなくなっていきます。
この記事を書いている私自身、完璧にお金のことを理解しているわけじゃありません。
子どもと一緒に、「これってどういうことなんだろうね」と考えながら進んでいます。
日常の中で少しずつ。
それくらいの距離感で、お金の話を続けていけたらいいですね。
